【イベントレポート】SEMI Taiwan 2025
SEMI「3DIC Advanced Packaging Manufacturing Alliance」発足 ― Jun He氏(TSMC)が語る“現地化”の重要性
2025年9月、台湾で開催された SEMICON Taiwan 2025 の場で、新たに 「3DIC Advanced Packaging Manufacturing Alliance」 が正式に発足しました。台湾を中心とする35社が参画し、次世代半導体の製造に向けた連携を強める大型プロジェクトです。
そのキックオフイベントで基調講演を行ったのが、TSMCのJun He氏。
講演のテーマは明快で、AI時代の半導体開発における 「スピード」と「現地化」 の重要性でした。
開発スピードが勝敗を決める時代に
Jun He氏はまず、半導体開発のサイクルが劇的に変化していることを指摘しました。
従来は新しい製品世代が市場に出るまで 2〜3年 を要していましたが、今では 1年未満 での世代交代が当たり前になりつつあります。
特にAI需要の高まりにより、TSMCの先端パッケージ「CoWoS」では、テープアウトから量産までの期間が 7四半期から3四半期 へと短縮。これは業界全体にとって大きな挑戦であり、製造現場へのプレッシャーはかつてないほど高まっています。
キーメッセージ1:現地化(ローカル化)が成功のカギ
Jun He氏が最も強調したのは、「現地での即応力」。
研究所や本社で技術を完成させてから工場に持ち込む従来の方法では、スピードに追いつけません。
これからは――
- 現場チームと研究開発チームが一体で動くこと
- 海外ベンダーであっても、現地の量産体制と協働できる仕組み が必要
- 「現地エコシステムを作り、課題を共に解決する」 ことが重要
つまり、完成したものを移転するのではなく、その場で一緒に作り込みながら改善するスタイル が求められているのです。
キーメッセージ2:装置とプロセスを同時開発
スピードを優先するため、これまでの「プロセスを固めてから装置を導入する」という流れは大きく変わりました。
今では、未確定のプロセスのまま装置を導入し、現場で並行開発する 手法が採られています。
これによりリスクは増えますが、開発期間を大幅に短縮できるのです。
キーメッセージ3:産官学の連携
Jun He氏はまた、政府や現地サプライヤーとの協力 の必要性を強調しました。
- 国産サプライヤーやローカル企業を育成し、共に開発を進める
- 「完成品を持ち込むやり方ではなく、現場で一緒に開発しながら修正していくアプローチ」
- ジョイント・デベロップメント(共同開発)の重要性
最後の言葉
講演の最後にJun He氏はこう語りました。
“We innovating as one, Winning as a team.”
(我々は一つになって技術を革新し、チームとして勝利する)
この言葉は、新しく発足した35社による 3DIC Advanced Manufacturing Alliance の方向性を象徴しています。また海外企業でも台湾に拠点があるなど素早い対応が期待できるなら、歓迎されると言います。具体的な開発計画については今後策定されていくことになります。